復讐捜査線 (2010):映画短評
復讐捜査線 (2010)チャック・ノリスか~い!って邦題だけど。
原題「暗黒の淵」こそ相応しいM.ギブソン久々の俳優復帰作。愛娘の惨い末期を見てしまったメルは組織を無視して捜査を始めるが、いつしか彼の額には深いヨコ皺が刻まれ、さらに逆さ富士型の面妖なタテ皺も重なっていて、これが余計に憤怒と悲壮感をいや増すのだ。M.キャンベルの演出も『カジノ・ロワイヤル』よりさらに渋く、なんでもTV時代の出世作のセルフ・リメイクだとか(そしてジャッキー・チェンの『ザ・フォーリナー/復讐者』へと繋がる)。最初は敵側ながらいつしか共感を抱いていくR.ウィンストンもイイ。やがて暴かれる事件の真相は、環境ゴロや原子力産業への不信感ではち切れそうな今の日本人には穏やかじゃないよ。
この短評にはネタバレを含んでいます