アンダー・ザ・スキン 種の捕食 (2014):映画短評
アンダー・ザ・スキン 種の捕食 (2014)ライター2人の平均評価: 4
スカヨハの裸がどうでもよくなる、スキのない映像世界
見ていて『2001年宇宙の旅』を思い出したのは、説明的なセリフが一切排除されているからだけではない。スキのない映像の構図によるインパクトもなかなかのもの。
不協和音をバックに光が少しずつ広がり放射線状と化す長いファースト・シーンからして尋常じゃないが、ヒロインが獲物を求めて夜の街を流す風景のドライ感といい、黒と白の色使いと液状のぬめりが鮮烈な捕食シーンの異様さといいい、何か“ヤバい”ものを見てしまった衝撃が脳裏に刻まれる。
スカーレット・ヨハンソンのフルヌードは話題となっているが、それ以上のインパクトをあたえる怪作。誰にでも気軽に勧められる作品ではないが、映画ファンは見ておくべき。
この女優にはなぜ人間以外の役が似合うのか解明したい
説明は一切ない。なので、観客はスクリーンの上で起きる出来事を見ながら、それがどういうことなのかを考え続けることになる。その体験が、刺激的。
音楽は、画面で起きていることには寄り添わない。画面ではなく物語の展開に沿って変化していく。音楽は英国のミュージシャン、ミカチュー。監督はRadioheadやUNKLEのクリップを手掛けたジョナサン・グレイザーだ。
寒いスコットランドの田舎町。人間ではない存在が、人間の皮膚をまとって動いていくうちに、感情というものの存在を知って驚愕する。やがて身体というものを発見しておののく。その畏れと歓びを、スカーレット・ヨハンソンが体現している。