お引越し:映画短評
お引越しあわせて公開中の『夏の庭 The Friends』も必見
没後23年を経て、(全くもって遅すぎたが……)近年いっそう監督相米慎二が世界にて高い評価を受けている。それにしてもなぜ? そう思った方は、離婚寸前の両親と多感な少女レンコ(田畑智子)のひと夏の物語、4Kリマスター版の『お引越し』(93)を観てほしい。
相米作品というと、そのキャスト&スタッフの総力を挙げた“念写”のような驚異的な長回しが話題になる。いや実際にそれは凄いのだが、レンコからの電話をオフィスで受けていた父親(中井貴一)が、彼女が近くにいることに気付くシーン。例えばここは丁寧にカットを割っていて、高低を活かした構図と目線、音の使い方など、この数ショットだけでも「世界的」なのが明白だ。
この短評にはネタバレを含んでいます