愛を耕すひと (2023):映画短評
愛を耕すひと (2023)マッツ・ミケルセンの真価が発揮された孤高で激する主人公
孤高で高貴なムードを漂わせつつ、瞬発的に野獣のような本能も発揮する。そんな主人公に、北欧の至宝俳優のキャリアが粛々と活かされた印象。やはりこの人、深部に漂う狂気を演らせたら世界最強か。セリフが母国のデンマーク語となれば、さらに本領発揮だと本作で実感。その意味でスター映画。
土地を開墾するため“擬似家族”の絆がポイントなのでエモーションな人間ドラマを予感させながら、描写はかなりハードで、18世紀の人間たちの凶暴な行為もストレートに映像化されて驚いた。夕方から夜のシーンでは、シルエットの美しさ、レンブラントの絵画のような陰影で陶酔させ、終盤の展開には哀感とともにアドレナリンが上がる。邦題も上出来。
この短評にはネタバレを含んでいます