虹色ほたる ~永遠の夏休み~ (2012):映画短評
虹色ほたる ~永遠の夏休み~ (2012)ただのノスタルジーものと思うなかれ!かなりの前衛作。
とにかく絵がヘン。人物の輪郭はいっさい完結した線で描かれることなく、不定型な異様な物体が始終くねくねと動くのだ。それでも躍動感や心理描写はしっかり観るものに伝わるんだから凄い。田舎の森に差し込む陽光は陰とのコントラストが異常に強く、満月の光は夜の闇の部屋にくっきりとした矩形を描く。まあ、物語にさして新味があるというわけではないし、人物や光とは逆に背景は超リアリズムでもあり「かつての日本」への記憶を刺激するのだが、次第に物語も異様なテンションになっていき、クライマックスの村祭り(ダムに沈んでしまう村の歴史の終焉も意味する)では絵柄も表現もがらっと変わる。東映アニメーション史上、最もアートな作品。
この短評にはネタバレを含んでいます