パラダイス:愛 (2012):映画短評
パラダイス:愛 (2012)感動的なまでに性格悪い!!!!!!
ハネケに続くオーストリアの腹黒監督として、ウルリヒ・ザイドルは今年絶対チェックしたい。ただし作風はシニカル度数が強すぎて、視座のピントが合わないと危険。人間の両義性をそのまま出すので、何かと白黒はっきりさせたい真面目な人は「不快!」と吐き捨ててしまいそう。
本作は「善意」系の白人のおばちゃんが、ケニアのリゾートで無自覚の植民地主義者ぶりを全開にするお話。本人は乙女心で愛を求めているだけだが、客観的には現地の黒人男子を買春しまくるグロテスクな光景に……。
これが単に社会派的な風刺ならわかりやすいんだけど、同時にザイドルは彼女の奥に巣食う孤独を深く深く見つめるのだ。本当モヤモヤするほどの傑作!
この短評にはネタバレを含んでいます