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おしん (2013):映画短評

おしん (2013)

2013年10月12日公開 109分

おしん
(C) 2013「おしん」製作委員会
森 直人

「純・映画的」×「ザ・芸能界」の非・バランス

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

いま、なぜ『おしん』!?――最初はその一言に尽きる!と思っていたが、いざ観賞すると、まったく別の方向で面食らった。「本気」なのだ。謎の目的に向かってスタッフ・キャストが一丸となった壮絶な気迫が伝わってくる。すこぶる真面目な力作である。

きっと企画としては最初からアジア全域のマーケットを視野に入れていたのだろう。本作はみごと、中国のアカデミー賞「金鶏百花映画祭」で国際映画部門の最優秀作品賞に輝いた。しかしありていに言うと、この映画は俗受けしないと思う。今どき愚直なほど「純・映画的」な志に満ちており、ロングショットや長回しなど、文法的にはむしろアート映画の範疇に入る。大陸的な風格の叙事詩。そして濱田ここねの芝居を丹念に見せる、少女の成長譚。相米慎二組の助監督出身で、新人の女子中学生をヒロインに起用した『非・バランス』(2001年)からスタートした冨樫森監督のひとつの集大成と評してもいいほど。

ただ表現として真摯なだけに、どうにもお水っぽい印象との肉離れが気になる。それを象徴するのが、雪山でもメイクの乱れていない上戸彩の“特別ゲスト”感――つまり「ザ・芸能界」の匂いなのだと思う。

この短評にはネタバレを含んでいます
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