2ガンズ (2013):映画短評
2ガンズ (2013)ベタな情を拒む、クールかつアツいバディ・ムービー
バディ・ムービーは好物の部類に入るが、バディ間の気持ちの接近を過剰に感動的に描くあまり、不自然で敬遠したくなることがある。『2ガンズ』は、そんな湿ったベタつきとは無縁の快作だ。
麻薬組織に潜入捜査している麻薬捜査官と海軍エージェントの主人公ふたりは、そもそも信じ合っていないし、たがいの正体を知るや“騙しやがったな!”と自分のことは棚に上げてムキになる。そんな彼らが危険をくぐりぬけるうちに仲間意識で結ばれていく、という展開だが、友情と呼ぶに至らないのがミソ。たがいに信頼し合うのは映画の中では、ホンの一瞬。一瞬だからこそ、沸点への急激な高まりが印象的なものとなり、熱くなれる。節度のある、そんな抑制に好感が持てた。
主演のデンゼル・ワシントンは『デンジャラス・ラン』で、マーク・ウォールバーグは『テッド』で、それぞれ異形のバディ・ムービーを経験したばかり。彼らの好調ぶりが伝わってくる点でもニヤリとさせられる。