テッド2 (2015):映画短評
テッド2 (2015)ライター6人の平均評価: 3.7
テッド版『ロー&オーダー』!!??
『42番街』や『ゴールド・ディガース』の気合い入りまくったバズビー・バークレイ完コピタイトルからなんだか本気度アップ。ま、何に本気なのかはこの段階では判らないのだが、なんとド直球の「基本的人権擁護映画」になってるのに笑った。ま、エロ画像だらけのPCを始末するシーの異様な凝りようとか、Si-Fiファン向けとしか思えぬやたらと長い乱闘とか、本当にどうでもいいアホは満載ではあるが、こうしたマジとも冗談ともつかぬテーマ性にシフトするのもまた良し。それに特筆すべきはアマンダ・サイフリッドのいつにない可愛さ!ホントにこの世代のアメリカ人は好きねと思わせる『ブレックファスト・クラブ』愛にもニヤリ。
これはあくまでも趣味の問題ですね…
罰当たり指数MAXな英国産ブラックコメディを愛する者として、前作はシモネタにしてもタブーネタにしてもお子様向けとしか思えず、しかも結局はハートウォーミングな方向に持っていこうとする辺りの煮え切らなさが不満だったが、今回はさらにお下劣度がマイルドに。やっぱり、悪乗りしすぎてコケた『荒野はつらいよ』の反省か?
そもそも、基本コンセプト自体が豪州産シットコム『Wilfred』の亜流(同作の米版リメイクはS・マクーファレンの盟友D・ザッカーマンが製作)である本作。私のような悪趣味かつへそ曲がりな人間には相変わらず毒気が足りないものの、だからこそ一般受けするのかもしれない…と改めて思いました。
ある意味、前作以上のレベルに突き抜けた!?
下ネタもオタクネタも遠慮なくぶちかます。そんな前作の魅力を踏襲しつつも、作り手には前作の二番煎じに終わる気はないようだ。
なにしろ、本作の主人公は1作目以上にテッドである。前作ではテッドよりも、彼とのぬるま湯生活から抜け出そうとする相棒ジョンのドラマに重きが置かれていた。しかし今回はテッドという社会にはありえないキャラの苦闘が主軸。これには意表を突かれた。
小難しいことを考えなくてもギャグだけで楽しめるが、あえてテーマを語るなら、『第9地区』にも通じる、人間の寛容さの進歩か。非現実とされてきたモノを人間社会は受け入れられるか? 耳をそばだてると、そんな問いかけが聞こえてくるようだ。
アマンダ・セイフライドの新キャラが強烈かつキュート!
“テッドのくせに、法廷モノ”という変化球で攻めながら、サム“フラッシュ”ジョーンズ怒りのタックルに、コミコンに舞台を移したティファニー大好きストーカーとの攻防戦と、「デジャヴか?」と思うほどの安全・安心のアホアホ・クオリティ。しかも、サンダーバディと図書館で『ブレックファスト・クラブ』をキメたかと思えば、『大災難P.T.A.』な珍道中を繰り広げるアマンダ・セイフライドの新キャラがあまりに強烈かつキュートで、ミラ・クニスの降板なんて忘れてしまうほど(『荒野はつらいよ』好きにはたまらんサービスもあり!)。確かに前作のインパクトには欠けるが、これだけ盛りだくさんで楽しませてくれれば文句はない!
テッドの毛がちょーっとだけ汚れてるとこもナイス
テッドが子供を持とうとするという設定から、前作でちっとも成長しなかったテッドと相棒のジョンが、今回は大人になろうとするのだろうかと心配になるが、そんなことはまるでなく、2人は1ミリも成長していないのでご安心を。とはいえ、ぬいぐるみのクマが子供を持とうとすることから、人権問題がけっこうマジな形で描かれるので、なんだかなあと思っていると、モーガン・フリーマン演じるベテラン弁護士が新人弁護士に「君の失敗は感情に訴えかけなかったことだ」と言い、これが本作についての自己ツッコミにも見える。セス・マクファーレン監督、やはり一筋縄ではいかない。オマケだが、大物俳優のカメオがかなりイイ味で、必見。
ボストン人の誇り満載、でもサンダーバディのバカっぷりは変わら
80年代ポップ・カルチャー愛が満載の前作同様、続編もセス・マクファーレン節炸裂で、最初から最後まで笑いっぱなし。同性婚合法化を彷彿させるテッドの人(?)権闘争がテーマとはいえ、当然ながらシリアス感は皆無。バツイチになって失意の相棒ジョンとテッドのアホ丸出し言動やマリファナ愛に目くじらを立てる人もいそうだけど、それは野暮ってもの。肩の力を抜いて、サンダーバディのバカっぷりを楽しむべし。前作から続投のテッド偏愛男による伏線やコミコンねたも楽しいが、人気NFL選手トム・ブレイディやフェンウェイ球場名物の「スウィート・キャロライン」を使った演出にボストニアンのプライドを感じました。