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最後のマイ・ウェイ (2012):映画短評

最後のマイ・ウェイ (2012)

2013年7月20日公開 149分

最後のマイ・ウェイ
(C) Tibo & Anouchka

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

中山 治美

゜フランスの郷ひろみ゜のアッパレ人生

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 著名ミュージシャンの生涯といえば、売れる→調子こく→ドラッグで転落…がお決まりだ。だが「マイ・ウェイ」の生みの親で、“クロクロ“の愛称で知られた仏歌手クロード・フランソワのド根性人生にはシビれた。
 顔やチビなどのルックスの欠点を、整形と鍛え上げた肉体、そして派手なファッションでカバー。さらに“売る“ためなら米英の流行ソングを積極的に取り入れ、話題作りにステージで倒れるというヤラセも実行した。性格と女癖は難アリだが、その努力する姿は日本人好みだ。
 弱冠39歳で死去したが、濃密過ぎる生涯を149分に詰め込んだために早送りで観ているかのよう。観客は、置いてきぼりを食らわないようにご用心。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

フレンチポップス黄金期を鮮やかに再現した感動の伝記映画

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

“クロクロ”のニックネームで親しまれ、死後35年を経た今もなお熱烈に愛され続けるフランスの国民的歌手クロード・フランソワの伝記映画である。まさか日本公開されるとは思ってもみなかっだけに、長年のクロクロ・ファンとしては感無量。なにしろ、日本ではその全盛期でさえ無視され続けたのだから。ツイストからR&B、ディスコに至るまで、その時代その時代のトレンドを敏感に吸収しながら、いつまでも色あせないエバーグリーンなポップ・ナンバーを生み続けたクロクロ。しかし、リベラーチェ一歩手前の煌びやか過ぎるステージや、英米ポップスのカバーを含む臆面もないくらいに大衆的な音楽性が、日本では根暗なシャンソン・ファンにもスノッブなフレンチ・ポップス・ファンにもそっぽを向かれてしまった。本作は女好きで浮気性で嫉妬深くて負けず嫌いで傲慢な彼の素顔を赤裸々に描きつつ、だからこそ逆境をバネにしてスーパースターへと上り詰めることができたのだというその核心を見事に捉えており、そもそも伝記モノとしての完成度が極めて高い。そればかりでなく、’60~’70年代のフレンチポップス黄金期を鮮やかに再現し、クロクロの名曲の数々も思う存分楽しませてくれる。なによりも、クロクロ役ジェレミー・レニエのソックリなこと!まるで本人の魂が乗り移ったかのごときパフォーマンスにも酔いしれる。これほどまでに鳥肌が立ち、なおかつ感動の涙の止まらなかった映画は久しぶりだ。本作を機に、日本でもクロクロ・ファンが増えることを願ってやまない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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