しあわせはどこにある (2014):映画短評
しあわせはどこにある (2014)ライター3人の平均評価: 2.7
しあわせさがす中年ほど気持ち悪いものはない。
『ワールズ・エンド』のカップル再び、僕の愛するS.ペッグ&R.パイク主演なのにこの気色悪さ。今の生活に多少悩んだからとて、いい齢したリッチな男が世界中回って“自分探し”する。ま、『LIFE!』もそうだったが、こんな大名旅行みたいな甘えた話のどこに肩入れしろってんだ。各地でS.スカルスガルドだのJ.レノだのT.コレット(彼女はなかなかいい)だの、チベットの老僧・伊川東吾だと出会うが、得るのはどこかで聞いたような箴言ばかり。で、幸福論を唱える脳科学者・C.プラマーの実験台となって得る悟りとは……ニュー・エイジぽいけど精神性稀薄なあたりまえさがいかにもP.チェルソムらしい。
豪華キャスト陣の好演が光る幸せ探しの旅
日常に漠然とした不満を抱えるイギリス男が、世界各地を旅して奇想天外な体験を重ねることで、ささやかな幸せの有難みを知る。ベン・スティラーの『LIFE!/ライフ』を多分に彷彿とさせる作品だ。
中国では急速な経済発展の光と影を目の当たりにし、アフリカでは政情不安や貧困の中でも前向きに生きる人々の逞しさを実感。ロサンゼルスではかつての恋人と再会し、青春時代の幻影に別れを告げる。
東洋思想に対する西洋人の妙な憧憬を含め、ありきたりと言えばありきたりな内容だが、サイモン・ペッグ以下の豪華な役者陣の好演に救われている。中でも、思い出に囚われた主人公の背中をそっと押す元恋人役のトニ・コレットは秀逸だ。
サイモン・ペッグのキャスティングに納得!
フツーの男を演じるサイモン・ペッグも悪くない。いつもは「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う」などのエドガー・ライト監督作を筆頭に、周囲に迷惑を掛けまくるヤンチャでおチャメな男を演じているペッグが、本作で演じるのは、ロザムンド・パイク扮する完璧なガールフレンドのいる成功した精神科医。その精神科医が"幸せとは何か"の答を求めて世界中を旅するという、ストーリーのド直球さには思わずひるむが、サイモン・ペッグの演技と、主人公がノートに描くイラストが和ませてくれるから大丈夫。そして最後には、主人公が、エドガー・ライト監督作でペッグが演じてきた主人公たちと共通点を持っていたことが分かるのだ。