パリ、ただよう花 (2011):映画短評
パリ、ただよう花 (2011)薄汚いパリの裏町で燃え上がる情欲に現代の中国を見る
中国国内で5年間の創作活動禁止を言い渡されたロウ・イエ監督が、パリに暮らす中国人女性の愛と孤独を通じ、時代の狭間でがんじがらめになった現代中国人の閉塞感をあぶり出していく。
粗野な土木作業員のフランス人青年と激しい情欲の日々を重ねるヒロイン。傷つけ合いながらも求め合うその姿はさながら自傷行為であり、異国でのロマンスと呼ぶには余りにも痛々しい。母国に帰れば安定した仕事や結婚が待っているのになぜ…?そこが本作の核心と見て間違いないだろう。
そして、貧しい移民や労働者で溢れた薄汚いパリの裏町風景が、主人公を取り巻く混沌とした時代を象徴する。パリ=お洒落、なんて安易な発想を打ちのめす力作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます