抱きしめたい -真実の物語- (2013):映画短評
抱きしめたい -真実の物語- (2013)さまざまな「映画表現」をこの一本で!
ヒドいタイトルだけど、実はここまで好き勝手やっていいのかねというべき作家映画。泣かせ目的の企画に違いないのにそれを徹底的に拒絶するばかりか、ほぼすべてを「笑い」に変換してしまうとは!そこに「塩田明彦の映画術総ざらえ」的技巧が凝らされる。例えば『パンチドランク・ラブ』を想起させる幾何学的なショッピングモールのシーン。ヒッチコック『汚名』キスシーンのアレンジ的回転木馬シーン。と思えば突如リアリスティックな手持ちキャメラにもなるし、これらがすべてワンカット。となると安易なお涙頂戴映画へのアンチかなと思うし、それに間違いはないのだろうが、モニタ越しに延々と映す北川景子のリハビリ姿は凄絶そのもの(涙)。
この短評にはネタバレを含んでいます