新しき世界 (2013):映画短評
新しき世界 (2013)ライター2人の平均評価: 4
これがお前の生きる道
韓国映画ファンだけでなく、香港ノワールファンをも唸らせた『インファナル・アフェア』な潜入捜査官が巻き込まれる、『ゴッドファーザー』<『仁義なき戦い』な後継者争い。トニー・レオンに負けず劣らずなイ・ソンジェ演じる捜査官の葛藤に、廃墟の釣り堀が似合いすぎるチェ・ミンシク演じる“非情上司”。そして、エレベーターでの立ち回りも壮絶なファン・ジョンミン演じる兄貴分の暴走と、それぞれ違うアプローチの芝居を魅せる3人と心理戦重視なパク・フンジョン監督の演出がクールなドラマを生み出す。銃器より鈍器多めな男たちのヴァイオレンスが展開されるなか、女性秘書のエピソードも、なかなか興味深い。
『悪いやつら』よりさらにヤバい!
やたら完成度が高い! いわゆる「潜入捜査官もの」だが、パロディックな『土竜の唄』とは当然大きく違い、極道世界のサバイバルを残虐な暴力描写と共に描いた本物の“ヤクザ映画”の匂い。『インファナル・アフェア』というより、『仁義なき戦い』に迫る特濃の男汁と『アウトレイジ』ばりの熾烈なパワーゲームを併せ持った作風の逸品だ。オチも斬新!
興味深いのは「韓国華僑」のモチーフ。最近「朝鮮族」は『哀しき獣』などでおなじみだが、こちらが全面展開される映画はまだ珍しいのでは? 役者陣では主人公と“ブラザー”のねじれた絆を結ぶファン・ジョンミンが圧巻。これほどタレサンが70年代東映的に似合う男は久しぶりに見たぜ!