寄生獣 完結編 (2014):映画短評
寄生獣 完結編 (2014)ライター2人の平均評価: 3
若干の疑問を残しつつ、まずはうまく着地。
作品のテーマが浮かび上がり、現代批判的な要素が濃くなる後半戦。原作で二度訪れるクライマックスを同時進行とした改変、そして前作と対になるように「母性」をクローズアップした古沢良太らの脚色は効果的、S.ゴードンかB.ユズナかというグロな生体描写含め、まずは原作好きも納得ではないか。キャスティングも笑ってしまうほど適役で、とりわけ「後藤」役・浅野忠信の無言の怪物的迫力は凄い。ただ、田宮良子の長い独白はテーマに関わる部分ながらも中だるみするし、放射性廃棄物の扱いや、ラストシーンの処理の杜撰さなど「ここまで丁寧に作っておきながら、何故もう少し気が配れないの?」と見過ごしがたい疑問点もいくつか残る。
物語の着地点としては納得できるが……。
前作を“親殺し”の話として見た自分としては腑に落ちる内容。唯一の肉親である母親を失い、天涯孤独なった主人公がヒロインと結ばれる過程は、なるほどと思わせるに十分だ。
そんなドラマに血肉を宿らせるには役者の技量が不可欠だが、主演の染谷俊太もヒロイン、橋本愛も十分にそれに応えた。ラブシーンの自然なぎこちなさを含めて、彼らを見ているだけでも気持ちが引き寄せられる。
ただし設定面での甘さは減点。一度は切断されたミギーの後の出没の機は唐突感が否めないし、最後の逸話も無駄に矛盾を生じさせるのみ。深津絵里ふんする寄生生物が訴えた重要なテーマも結果的に伝わりにくくなったことが惜しい。