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怒れ!憤れ!-ステファン・エセルの遺言- (2012):映画短評

怒れ!憤れ!-ステファン・エセルの遺言- (2012)

2014年3月1日公開 88分

怒れ!憤れ!-ステファン・エセルの遺言-
(C) Prince Production
森 直人

“政治の季節”のアートシネマ再び

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

監督のトニー・ガトリフは『ガッジョ・ディーロ』や『僕のスウィング』など、自らの出自のロマを題材にジプシー音楽を盛り込んだ抒情的な作風のドラマで知られる人だ。しかし政治活動家ステファン・エセルが2010年に出版した小冊子に触発された本作は、ヨーロッパの大衆運動“INDIGNADOS”を背景にしたアジテーション映画である。

鮮烈なイメージが叩きつけられる画面にタイポグラフィによるスローガン。『東風』『イタリアにおける闘争』(69年)など、ゴダールがジガ・ヴェルトフ集団を組織していた時期の作品形式を彷彿とさせる。単なる政治映画ではなく「映画を政治的に撮る」ことの実践を律儀に甦らせた意欲作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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