THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 (2015):映画短評
THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
短編シリーズの荒唐無稽を継承して欲しかった
悪乗り気味の漫画チックなユーモアと悲喜こもごもの人情劇が楽しい実写版短編シリーズが、おのずと予算に限界のある国産巨大ロボットアクションとして大正解だと感じていただけに、それらの要素をあえて抑えた今回の長編版には複雑な思いがよぎる。どうしても、同種のハリウッド大作と比較せざるを得なくなるからだ。
レインボーブリッジや都庁の爆撃シーンは、本物のニュース映像と見紛うばかりのリアルさで、VFX技術は十分に高い。スタイリッシュな演出にも押井監督のビジュアリストぶりが如実に現れる。だが、低予算による小規模スケールは誤魔化しきれず、イングラムの出番の少なさも目立ってしまう。
押井守は実写映画でもカッコイイ!
本作が、その証拠。ストーリーは、93年に彼が監督したアニメ「機動警察パトレイバー2 the Movie」の再構築的作品。映像のクールなスタイリッシュさも、大人向けの物語展開も、先述の名作アニメを連想させ、無意識のうちに比較してしまうが、それに負けていない。実写で巨大ロボットなのに、チープではない。とくに映像。例えば、金網のフェンスを挟んで、人物二人がフェンスに背を向けて立ち、互いの顔を見ず、画面に顔も映らず対話する場面。被写体に動きはないのだが、構図の力、会話の力だけで、ひとつの情景として魅了する。この監督の「Garm Wars: The Last Druid」が早く見たい。