5つ数えれば君の夢 (2014):映画短評
5つ数えれば君の夢 (2014)ライター2人の平均評価: 4.5
東京女子流 in 山戸結希流!
いよいよ平成元年生まれの天才女子監督「やまとん」(©中森明夫)こと山戸結希が長編デビュー! こりゃ大事件ですよ!と、まずは強く言っておきたい。
上智大哲学科在学中に撮った『あの娘が海辺で踊ってる』に始まり、『Her Res』『映画バンもん!』と挟んで大傑作『おとぎ話みたい』という怒涛の快進撃を追っかけてきた人なら説明不要。東京女子流の5人を主演に『桐島』の向こうを張った学園映画……に見せながら、ずぶずぶと独特の作家性の海に彼女たちを泳がせる。
今回、とりわけ顕わになったのは少女漫画の影響ではないか。“24年組”ばりのディープな抽象性が、映画史上初めて画面を華麗に狂おしく支配するのである!
注目の女流監督の才能がより開花
ロッカーの上に横たわる新井ひとみの狂った登場カットから、完全に東京女子流という素材を使った山戸結希監督作であることを思い知らされる。そんな女子高という特殊空間で展開される“女子版「風と木の詩」”であり、“ミスコン版「櫻の園」”。
山戸作品といえば、常に危うさと隣り合わせであるゆえ、1カットも目が離せないが(ある意味、ジェットコースタームービー)、今回はその危うさを武器に、登場人物の心情を表した音楽の使い方など、技術的な巧さがより明確に。黒板での○×や首元の絆創膏など、相変わらずヤバいカットも多いが、今回も溢れ出る言の葉マジックとともに、狂気と美しさが混在するクライマックスに打ちのめされる。