ひなぎく (1966):映画短評
ひなぎく (1966)期せずして追悼、ヴェラ・ヒティロヴァ。
別に何をするでもなく暇を持て余している女の子ふたりの奇妙な冒険……90年代に「ガーリー映画の傑作」として賞揚された先駆的作品がひさびさのリヴァイヴァル。でもその破壊力は微塵も弱まっていないのが流石だ。少女の自由奔放なアクション、アニメーションやコラージュを駆使した色彩とリズム、奇抜な音と編集、といった純粋に感覚的な要素だけで突っ切る凄味……これぞ「プラハの春」前夜に盛り上がったチェコ・ヌーヴェルヴァーグのエッセンスといっていい。「働けば幸福が待っているなんてお題目は嘘っぱちだ!」と喝破するオチも当時の共産主義体制への当てこすりなのだが、物事すべて笑い飛ばす悲痛なまでの勇気は今こそ必要かも!
この短評にはネタバレを含んでいます