怪しい彼女 (2014):映画短評
怪しい彼女 (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
このアイディア、日本でも活かせる!…と言いたいが。
確かに怪しい。怪しすぎる。彼女が20歳になった70歳のおばあちゃんだと観客は知ってはいるが、20歳なんてもうパッと見だけで、口調も仕草もすべてが70歳のバアさんそのものというこの凄さ! こんな芸当…いや確かな演技を楽々こなすシム・ウンギョンに畏れさえ覚える。いってみれば彼女がすべて。単純なプロットではあるが、よく仕掛けられた展開とキャラクター(元奉公人“パクちゃん”が最高)も活きているし、老人問題や、言外の韓国史を含ませた脚本に“社会派”ファン・ドンヒョクらしさを求めることもできるが(でも『トガニ』にだって横溝正史的ハッタリがあった)、とにかくウンギョン無しに成立しない映画ではあるだろうな。
困ったときのおばあちゃんの知恵袋!
口が悪く乱暴で、嫁はいびるし意地悪だしなババアがひょんなことから若返ったら美少女!? ずっりぃ〜。我が道を突っ走る身勝手さはそのままで第2の人生を謳歌し、歌手にスカウトされるんだから人生は不公平だ。と斜に構えたくもなるが、ヒロインを演じるシム・ウンギョンの一生懸命さが愛らしく、くそババアな言動も許せてしまう。しかもトントン拍子の成功や活躍と並行して顔だけの男に惚れて捨てられた悲惨な過去も明らかにする演出がヒロインの荒ぶる言動のエクスキューズに。おばあちゃん、苦労したんだね。ここ一番で老人力を発揮する怪しい彼女を見ると、やはりおばあちゃんの知恵袋は侮れずと思わせる。お年寄りは大事にしないとね!