U Want Me 2 Kill Him/ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム (2012):映画短評
U Want Me 2 Kill Him/ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム (2012)ライター2人の平均評価: 3.5
英国北部、16歳男子の一途な恋...
…ではあるのだが、男子2人それぞれの恋はとんでもない方向を向いていて、けして交わらない。16歳の少年たちの一途さは、報われることを目指さないから胸を打つ。
元は実話だが、事件が起きたのは03年なので、現在のネットユーザーである観客には最初から事件の真相は明らかだが、それは問題ない。映画は、事件自体ではなく、その背後にある少年達の心理を描くもの。なぜ彼らがその行為を途中で辞められなかったのか。観客はその心理を追いかけていくことになる。
製作にはブライアン・シンガーが参加。英国北部、公立学校の制服、男子の自転車2人乗り。 Jake BuggやWU LYF、Editors等の曲が流れる。
未成年のネット利用が招いた悪夢を描く衝撃の実話
SNSの危険な落とし穴に鋭く切り込んだ佳作が続く。しかも、こちらは英国で実際に起きた事件の映画化だ。
チャットルームで知り合っただけの、まだ一度も会ったことのない年上の女性に本気で恋をしたことから、暴力とスパイと殺人の渦巻く悪夢の泥沼へと引きずり込まれる高校生の少年。全く予想のつかない展開は驚きの連続だ。と同時に、思春期ならではの不安定で繊細な青春模様を丁寧に織り込んだ脚本は奥が深い。
情報精査能力のない無防備な未成年が、オンラインに潜む正体不明の罠にハマったらどうなるのか?対人関係の希薄な現代社会で、青少年の直面する様々な問題を集約したようなクライマックスに怖さと切なさを覚える。