南風(なんぷう) (2014):映画短評
南風(なんぷう) (2014)ライター2人の平均評価: 3
台湾映画好きならマストです。
コースは違えど、台湾での自転車ツーリングを描く点で『練習曲』。ヒロインがうるさい崖っぷち日本人という点で『海角七号 君想う、国境の南』。このように台湾メガヒット作の要素がちゃっかり入っている点で、台湾映画ファンならニヤリの本作。
『九月に降る風』で強い印象を残し、『トランスフォーマー/ロストエイジ』にチラッと出てるテレサ・チーが、物語を引っ掻き回してくれ、青春映画の要素も強いのも嬉しい(おまけに彼女の父親役は『あの頃、君を追いかけた』での教育指導の教師!)。ただ、ご当地映画のようなコメディパートなど、『コドモのコドモ』以来、萩生田宏治監督6年ぶりの新作として観ると、ちょいとモノ足りない。
袖振り合うも他生の縁! 自転車旅で得たものは?
冒頭、「台北から日月譚まで自転車で走る取材ってスパルタすぎ」と突っ込みました。でも、いざヒロイン2人が自転車で旅立った途端にそんな些末なことは無問題に! 基隆や九份などを経由しながら、ときにビュンビュンと、ときに雨で立ち往生しながら旅は続く。風景の移り変わりとヒロインの心境の変化がシンクロし、見る側も清々しい気分になる。新しい出会いを体験し、ガイドの美少女トントンとぶつかりながら自分自身を見直す藍子役は最近大活躍の黒川芽以で、本作でも気負いの無い演技が素敵だ。英語や中国語にも果敢に挑戦していて、テレサ・チーとの掛け合いもナチュラル。若く、体力があったら彼女たちの真似をしてたかも。