バツイチは恋のはじまり (2012):映画短評
バツイチは恋のはじまり (2012)ライター2人の平均評価: 2
キャサリン・ヘプバーンは一日にして成らず。
どうしたってマトモな神経では理解不能なシチュエイション。でもそれを自分勝手な思いこみのままに貫徹し、常識や倫理を超えた異様のハッピーエンドまで超特急で突っ走る女性上位コメディがスクリューボールだが、どうもこの作品、明らかにその線を狙って見事に失敗している。持ち前の美貌とは裏腹に『イングロリアス・バスターズ』や最近では『不機嫌なママにメルシィ!』等、妙な役柄で光るD.クルーガーだけど、この手のコメディのミューズ、キャサリン・ヘプバーンを求めるのは酷としたとて、より一層パワフルなスピードとソフィスティケイションを求めたいところ。アフリカのシーンでの時代錯誤的描写もいささか不快で笑えない。
幸せになるためには、時には鬼にもなるべし?
美人すぎて冷たいイメージがあったダイアン・クルーガーが意外なコメディ・センスを披露し、予想以上に軽快な仕上がりだ。幸せな再婚のために飛行機で隣に座ったお人好し男性ジャン=イヴを美貌とお色気でたらしこみ、結婚に持ち込み、そして離婚目的で夫が嫌がることに精を出すまでが物語の大半。目的達成のためには手段を選ばないイザベラは鬼キャラ! でも彼女の「幸せ求めて一直線」熱意が伝わってくるし、演じるダイアンの表情や仕草がチャーミングだから、残酷で思いやりのない行動も許せるから不思議。ハッピーのためなら時には鬼にもなる女の覚悟たるや恐るべし。いや、見倣わなくては? 幸せになるには努力すべし、と胸に刻んだぜ。