ダニエル・シュミット-思考する猫 (2010):映画短評
ダニエル・シュミット-思考する猫 (2010)まるでシュミット自身が撮った映画のよう
まるでシュミットの映画のようなシュミットのドキュメンタリー。彼の映画のキッチュさはないが、浪漫的で幻想的。監督は、シュミットと親しかった映像作家。本作はシュミットの実像ではなく、彼の作品を愛する観客が見たいと思う、彼の肖像を描いていく。シュミット自身がフェイク・ドキュメンタリーの監督だったことも忘れてはいけない。シュミットがピアノを弾き、盟友ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーと楽しそうにデュエットする姿を、当時2人と同居していたイングリット・カーフェンが、少し離れた後からヤレヤレといった表情で煙草を吸いながら眺めている。そんな光景の数々が、まるでシュミット映画の1シーンのように見える。
この短評にはネタバレを含んでいます