泣く男 (2014):映画短評
泣く男 (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
チャン・ドンゴンがチョウ・ユンファ化!
『ロストメモリーズ』で取材したチャン・ドンゴンが「僕のヒーローはチョウ・ユンファ!」と笑顔で語ったときを思い出したほど、ドンゴンのユンファ・リスペクト大会。自らの過ちで贖罪ともいえる戦いに挑む前半は『狼/男たちの挽歌・最終章』。そして、マンションでのショットガンの銃撃戦から高層ビルに舞台を移しての『ダイ・ハード』なクライマックスは『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』。いつの間にファッションまでユンファ仕様になるのも高まるが、ストーリーが進むにつれて、脚本も演出もお粗末になるのは否めないし、『アジョシ』に比べれば、カタルシスに欠ける。とはいえ、香港映画ファンならチェックすべき一本である。
悲しみを背負った殺し屋の命を賭けた贖罪
無垢な少女の存在が孤独な男の命を賭けた戦いの引き金になるという点は、イ・ジョンボム監督の前作「アジョシ」と似ているが、本作では“母性”と“贖罪”をキーワードに、悲しみを背負った殺し屋の揺れ動く心情を浮き彫りにする。また、主人公の生い立ちやエリートと外国人が牛耳る犯罪組織の内部事情から、韓国の抱える様々な社会問題が垣間見えてくる点も興味深い。
もちろん、バイオレンス全開のアクションも盛りだくさん。特に銃撃戦の迫力たるや凄まじく、その場にいるような臨場感に圧倒される。ただ、封鎖された高層ビル内で敵の一味と対峙するクライマックスは「ダイ・ハード」的な既視感は拭えないのだが。