激戦 ハート・オブ・ファイト (2013):映画短評
激戦 ハート・オブ・ファイト (2013)ライター2人の平均評価: 5
負け犬たちの再起を懸けた戦い
どS監督であるダンテ・ラム作品の頂点のひとつであり、「西の『ウォーリアー』、東の『激戦』」と断言できる、総合格闘技(MMA)映画の金字塔。ある意味“ロッキーまでリングに上がってしまう『クリード』”な展開に胸熱くなるのは当然だが、そこに至るまでの負け犬たちの人間ドラマが丁寧に描かれているからこそ、無理なく突き刺さってくる。さらに『ブラッド・ウェポン』に続く、名子役クリスタル・リーの熱演はもちろん、マカオの風景に溶け込む名曲「サウンド・オブ・サイレンス」のカバー、肉体改造がハンパない主人公2人のBL風カット(ちなみに、6分長い中国公開版では冒頭の女店員がチーの恋人に)など、いろいろと抜け目ない!
アクションと人間ドラマのバランスが最高!
日本未公開の傑作『Warrior』を超える総合格闘技(MMA)ものはないと思っていたけれど、ダンテ・ラム監督も全然負けてない! というか主人公2人の負け犬指数が高い分、感情移入するのはこちらだろう。一攫千金を狙うスーチーが元ボクシング王者ファイの指導でトレーニングを積む場面は『ロッキー』ばりだし、アクション演技とディテールまで凝った撮影は秀逸。ハリウッド俳優並みにボディメイキングしたニック・チョンとエディ・ポンの筋肉美にうっとりだし、格闘シーンは手に汗にぎるド迫力だ。また主人公たちが抱える事情や苦悩も丁寧に描かれていて、人間ドラマとしても見応え十分! ラム監督の素晴らしいバランス感覚に喝采だ。