テラフォーマーズ (2016):映画短評
テラフォーマーズ (2016)ライター3人の平均評価: 2.3
楽しんだ者勝ちのお祭り映画
さすがは「仮面ライダーフォーゼ」も手掛けた中島かずきによる脚本。原作にかなり忠実であり、脚色の巧さもなかなか。それでいて、変身ヒーローものとしてのツボはしっかり押さえている。一方、三池崇史監督は、『ブレードランナー』な冒頭から「遊んでやる!」という意気込みは感じられるが、どうしても天下のワーナーブラザーズというバックを意識して、モヤモヤ感が見え隠れ。そのぶん、原作キャラとはまったく違う本多の小栗旬や、バッタになってもやっぱりカッコいい山Pなど、フッ切ったキャストが怪演で援護射撃。『スターシップ・トゥルーパーズ』を目指した体育会系バカSFだけに、お祭り映画として、楽しんだ者勝ちといえる。
日本のスーパーヒーローたちの雄姿を見よ!
いい意味で大爆笑! ハリウッド産スーパーヒーロー映画が大流行中の今、古くから特撮ヒーロー映画を生み出してきた日本が、今、世に送り出すべきヒーロー映画を考えた時にこの形に至ったのかと思うと、さらに感動が深まる。確かに(原作コミックはあるものの)そもそも"昆虫の能力を身につけたスーパーヒーロー"という発想は、スパイダーマンで仮面ライダーだ。
そのうえ、「ブレードランナー」や「エイリアン」が元ネタのベタでトホホなギャグが満載。ロケットの船体には日本の観客だけが笑える広告も搭載。格闘技中継や対戦ゲーム系の演出も楽しい。テラフォーマーズ大量発生のビジュアルもOKな娯楽アクション大作だ。
人気漫画だからといって面白い映画になるわけじゃないよね
火星を地球化しようとしたらとんでもない進化が起こっててびっくりぽん、という発想は面白いし、人気漫画なのも納得の展開。でも実写にした途端に魅力が消え失せてしまうというなんとも歯がゆい出来だ。楽しそうに悪役を作りこんだ小栗旬やアクション演技に磨きをかけた山Pはじめ豪華スターが揃っているし、予算も潤沢にあったと思われるんだけど、特撮のがっかり感ですべてが台無し…。三池監督のセンスは『ゼブラーマン』から進化していないというか、そもそも特撮パートに別監督を立てるくらいしたほうがよかった。原作もので当たったら続編と思ってたはずだけど、この1本だけでもういいです。