マッド・ガンズ (2014):映画短評
マッド・ガンズ (2014)ライター2人の平均評価: 2.5
実は憎まれっ子が似合うニコラス・ホルト
グウィネス・パルトローの弟ジェイクの監督2作目は、水資源の枯渇した近未来を舞台にした西部劇タッチのSFドラマだ。
水不足で農作物が全滅したことを理由に、政府と大企業が資源や食物を独占管理し、農民が土地も生活も奪われた世界。それこそTPPに対する風刺批判へと広げられそうな設定を、個人の復讐劇に止めてしまったのは勿体ない。息子以外の登場人物が、揃いも揃って愚か者ばかりなのも共感できず。
ニコラス・ホルトは珍しく憎まれ役。決して悪人ではないが、欲が深くて浅はかなために間違った選択ばかりするのは、脱・子役に成功したUKドラマ「Skins」で演じたヤリチン君トニーを彷彿とさせて良かったのだけど。
監督が目指したことがよくわかりませんでした。
水不足らしい近未来が舞台のディストピア映画だし、タイトルのせいか冒頭で『マッド・マックス』的なアクションを想像する。でも実はSFアクションではなく、SF西部劇風。少年の成長を描くカミング・オブ・エイジ展開を加えたのもオールド・スクールだ。マイク・シャノンやエル・ファニングといった注目の役者が出演しているのだが、コーディ・スミス=マクフィ―演じる少年以外の登場人物のモチベーションが伝わらないし、彼以外に共感できないのはドラマ自体とキャラクター構成に問題があるから。実に消化不良な後味を残す。ただし砂漠や太陽を効果的に使った映像はスタイリッシュでかっこいい。