マイ・インターン (2015):映画短評
マイ・インターン (2015)ライター3人の平均評価: 3.7
ただのガールズムービーに収まらない、示唆に富んだ作品
会社経営の岐路に立たされた若きビジネスウーマンが、酸いも甘いも噛み分けた70歳の新人インターンとの友情を通じ、肩の力を抜いた人生の舵取り方法を学んでいく。
基本的には、働く女性ならではの苦悩や葛藤を描いたガールズムービーだが、同時に誰もがアイディア次第でネットから起業できる時代の処世術、高齢化社会における世代間交流のあり方などにもテーマが及び、なかなか示唆に富んだ作品に仕上がっている。
ビジネススーツをビシッと着こなすデ・ニーロの穏やかな初老紳士も意外(?)なはまり役。まあ、展開は予定調和の連続だし、登場人物もやけにいい人ばかりだけれど、嫌味のない笑いと感動を程よく配した安定感は抜群だ。
高齢化社会の活性化を考えさせる、一種のファンタジー
急成長したIT企業でシニア・インターンの70歳がグッジョブ! という展開自体はあり得ないのだが、ロバート・デニーロが昔気質の紳士ベンをさらりと演じているので説得力あり。偉ぶらず、気配り上手なベンはまさに老人の鑑。最近のデニーロの枯れきってはいないけどギラギラ感はない雰囲気が生きていて、女社長が「横にいてくれると安心できる」と頼るのも、孫のような社員たちに慕われるのも納得なのだ。「死ぬまでSEX」とかヌカしてる日本のジジイどもはデニーロを見倣うべし。そうすればモテる、多分。年寄りの知恵と若者の情熱をいい塩梅に混ぜれば社会の活性化につながるとの理想論は実にナンシー・マイヤーズ監督らしい。
スマートキャラのデ・ニーロがとにかく斬新
『恋愛適齢期』でキュートなジャック・ニコルソンを引き出したナンシー・マイヤーズ監督。今回もいかにもマイヤーズな、ほのぼの展開で、デ・ニーロ演じる70歳のインターン目線で理想の男性像を描く。徹底してクセ者キャラだったニコルソンと違い、40歳年下の同僚に、恋愛アドバイスしたと思えば、ポッと出のキャリアに不安な女社長もサポートする、スマートなダンディキャラのデ・ニーロがとにかく斬新。年齢とともに、キャリアを重ねた役を演じることの多いアン・ハサウェイも、ジュールズも子持ちになった『プラダを着た悪魔』のアンドレアとして見ると興味深い。ただ、エロババアにしか見えないレネ・ルッソの使い方は問題。