メニルモンタン 2つの秋と3つの冬 (2013):映画短評
メニルモンタン 2つの秋と3つの冬 (2013)ライター2人の平均評価: 3
ハリウッド産ダメ男ラブコメとはひと味違う"苦さ"と"軽み"
"可笑しい"と"切ない"と"苦い"の配合バランスが、よくあるハリウッド産ダメ男ラブコメとは異質で、新鮮。物語の始まりは、心温まる系ラブコメのような男女の出会いだが、物語は大人向けのほろ苦さを微妙に増やしながら、一種の"軽さ"を保ち続ける。このテイストには、登場人物4人がカメラに向かって一人称で話し続けるという構成が一役買っている。舞台はパリだが、登場アイテムは、ジャド・アパトー、「ウォーキング・デッド」、「ブレイキング・バッド」、ジェフ・バックリィ、ジョイ・ディヴィジョンなど世界共通の英米ポップカルチャーが多く、この点でも登場人物たちの心境にアクセスしやすくなっている。
等身大で描かれるパリのモラトリアム男子の成長
大学を卒業してから職なし金なしのダラダラした生活を続けているパリの冴えない30代男が、運命の恋をきっかけに自分の人生を見つめ直していく。
頭が良くて教養もあるけど、芸術家志向で夢見がちで大人になれない主人公。そんな日本にもいそうな今どきの若者(?)像を、ヌーヴェルヴァーグ的な映像の遊びとサブカルネタ満載のセリフで等身大に描く。恐らく、特定の層にはむちゃくちゃ響くことだろう。
ただ、一人前に芸術論は語るけど自ら努力をする様子はなく、仕事も幸せも誰かが運んできてくれるものと思っているような主人公にどうも共感できず。そういう意味で、好き嫌いが大きく分かれる作品かも。