キャノンフィルムズ爆走風雲録 (2014):映画短評
キャノンフィルムズ爆走風雲録 (2014)ライター2人の平均評価: 4
ガッチャンコ・マークにシビれた、ビデオレンタル世代号泣!
日本公開当時、誰もがアメリカ映画と勘違した『グローイング・アップ』でのハリウッド進出から5年ほどで、コンペやマーケットでカンヌを席巻し、『スーパーマン4』の失敗で失脚。ロジャー・コーマンの助監督だったB級オタクと、アルトマンやゴダールなど、過去の人だった作家を復活させるシネフィルの顔を持つ、イスラエル映画界の風雲児の人生に終始ニヤニヤ。劣化した『グローイング・アップ』の面々やマイケル・ダディコフの現在の姿も拝め、制作されなかったイラストポスターも紹介されるなど、ビデオレンタル世代号泣の80年代(ほぼ)日本ヘラルド映画史! ただチャック・ノリスが過去のインタビューしか登場しないのは納得いかん!
根っからの映画バカ、メナハム・ゴーランに乾杯!
’80年代に一世を風靡した映画会社キャノン・フィルムズの栄枯盛衰に迫るドキュメンタリーだ。
やはり根っからの映画バカだった総裁メナハム・ゴーラン。そりゃそうだ、利益最優先ならマカヴェイエフやゴダールの新作に金など出さんし、落ち目のブロンソン主演作を連打したりしない。その狂気にも似た映画愛を従兄弟ヨーラム・グローバスが舵取りできなくなり、利益優先の資本家が介入したことでキャノンは崩壊したのだ。
ドキュメンタリーとしての構成は雑だが、文字通り映画に全てを捧げたゴーランの情熱は充分に伝わる。キャノンやエンパイアのような会社があったからこそ、80年代の映画体験は豊かだったのだと改めて痛感。