シリア・モナムール (2014):映画短評
シリア・モナムール (2014)戦争とインターネットの最前線における映画作家の現実参加とは?
今は無数の「ドキュメンタリー」が不断に発表されている。YouTubeにアップされたシリア内戦の記録を収集・編集し、誰もが動画を撮る超・多焦点な映像環境を反映させたのが本作の前半。そしてSNSでもう一人の監督とつながり、カメラを通した映像の固有性を模索するのが後半となる。
映画(あるいは映画作家と自覚する者)がどのように「現実」を捉えられるか――という問題が、ややナイーヴながら誠実かつ詩的に提示される。「この男とはシネクラブで出会った」との紹介と共に映し出される血まみれの死体。『ヒロシマ・モナムール』にちなんだ凄惨な場面だが、映画の輪郭から筆者が連想するのはむしろ『ベトナムから遠く離れて』だ。
この短評にはネタバレを含んでいます