曇天に笑う (2017):映画短評
曇天に笑う (2017)ライター2人の平均評価: 2.5
プロット設定のスケールに反して小ぢんまりとした仕上がり
明治初期の日本を舞台に、歴史上の人物を織り交ぜながら、若き剣士の戦いを描くコミックの実写映画化。おのずと『るろうに剣心』シリーズと比較されることは避けられないだろう。
オロチ伝説を絡めた伝奇的なストーリー展開、明治政府の秘密特殊部隊や忍者軍団が入り乱れるスタント・アクションなどが見どころだが、しかし残念ながらスケールの大きいプロット設定に相反して、実際の出来栄えは非常に小ぢんまりとしている。
明朗快活で爽やかな福士蒼汰の個性は光るものの、テレビ的な演出や安っぽいCGなどの稚拙さは如何ともしがたい。はからずも『るろうに剣心』がいかに傑作であったのか、改めて思い知らされたように感じる。
プログラムピクチャー感溢れる94分
流行りのコミック原作モノにして、94分という上映時間。それだけで好感触だが、ドローン~手持ちを駆使した大胆なカメラワークが映えるオープニングにツカまれる。自身が学ぶカリを発展させた鉄扇捌きを魅せる福士蒼汰演じる主人公に風魔一族、明治政府直属部隊も巻き込んだ、クライマックスの三つ巴アクションのクオリティも高い。また、このご時世だけに、女性キャラほぼ皆無の設定変更も悪くない。とはいえ、大風呂敷を広げ過ぎたあまり、微妙な仕上がりのCGも目立ってしまい、総合的には及第点止まり。本広克行監督ならではのアニオタ的センスも感じられるが、本作後に撮られた『亜人』に比べると、試行錯誤していたようにも思える。