ザ・ギフト (2015):映画短評
ザ・ギフト (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
イジメに時効なんてございません
学生時代のイジメというのは、往々にして被害者に一生消えないほどの深い傷を残すものだが、一方の加害者は自分が誰かをイジメたという事実すら忘れてしまうことが少なくない。本作のテーマはまさにそこであり、サイコサスペンスの手法を用いた因果応報の復讐譚だと言える。
物語の前半と後半で悪役がガラリと入れ替わるストーリーテリングの巧妙さ。あえて観客をミスリードさせつつ、徐々に真相を明かしていく煽り方は抜群だ。監督・脚本・出演の3役を兼ねるジョエル・エドガートンの見事な演出センスにニンマリとする。
そして、ある意味で究極の復讐とも言える皮肉なクライマックス。まさに一生忘れることのできない贈り物だ。
"俳優"エドガートンが監督して"演技の魅力"を描く
監督・脚本は、俳優のジョエル・エドガートン。監督業は短編2作を経験済みだが、長編映画は今回が初めて。にもかかわらず、ストーリーのおもしろさと、俳優の演技の魅力、その双方を堪能させてくれる。
特に後者。このストーリーは、俳優であるエドガートンが、俳優の演技というものの魅力を見せるために考案したのではないかと思わせる。ストーリーが進むにつれて、彼自身が演じる人物も含め、主要登場人物3人の隠されていた側面が次々に暴かれていく。すると、同じ俳優が演じているのに別の顔になっていき、別の人物に見えてくる。善人にも悪人にも見えてくる。そんな演技というものの持つ力を堪能させる映画になっている。