フランコフォニア ルーヴルの記憶 (2015):映画短評
フランコフォニア ルーヴルの記憶 (2015)『エルミタージュ幻想』の成功よ今一度とはならず
基本コンセプトはソクーロフ監督自身の『エルミタージュ幻想』と同じである。ただし、今度の舞台はフランスのルーヴル美術館。全編ワンカットというトリッキーな演出も今回はない。
第二次世界大戦当時、展示品を戦火から守るために奔走した館長とナチ将校の奇妙な友情を切り口に、各時代を自由自在に行き来しつつ、随所に狂言回しとして館内を彷徨うナポレオンやマリアンヌを登場させながら、ルーヴル美術館の200年の歴史を紐解いていく。
問題なのは『エルミタージュ幻想』がワンカット撮影によって統一感を生んでいたのに対し、本作ではその枠組みがなくなったこと。結果的に方向性の見えづらい散漫な印象の映画となってしまった。
この短評にはネタバレを含んでいます