アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発 (2015):映画短評
アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発 (2015)人間は誰もがアイヒマンとなり得る
善良な人間でも一定の条件下に置かれると非人道的な行為を犯してしまうことを証明した、いわゆるアイヒマン実験で有名な社会学者スタンレー・ミルグラム教授の半生を描く。
実験的な映像表現を随所に取り入れつつも、作風としてはセミドキュメンタリー的傾向が強く、その淡々とした語り口は好き嫌いが分かれるだろう。しかし、教授自身の人生背景や歩み、周囲との関りを俯瞰することで、彼を含めて人間というのは多かれ少なかれ他者や集団、社会の影響から逃れられない生き物であることも示唆する。その辺りの解釈は興味深い。
ちょい役で次々登場する豪華キャストも要注目だが、中でも『フットルース』のロリ・シンガーは久々で嬉しい。
この短評にはネタバレを含んでいます