素晴らしきかな、人生 (2016):映画短評
素晴らしきかな、人生 (2016)ライター2人の平均評価: 2
恐ろしいほど、豪華キャストのムダ遣い
『プラダを着た悪魔』はもちろん、『マーリー』『ワンチャンス』など、デビッド・フランケル監督はベタな設定を生かすのが巧い、職人気質だったはず。“どっきり入ったセラピー”という設定から、お約束な浪花節展開になると思われた本作は、決してそっちの方向に進むわけでもなく、シニカルな笑いを散りばめたオフビートコメディにもなっていない。同じ再生を描いた『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』に比べ、あまりに予定調和な脚本の粗も目立つが、これだけ芸達者なキャストを集めながら、これといった見せ場もなく、恐ろしいほどムダ使い。おしゃれなニューヨーク映画として観れば腹も立たないが、ぶっちゃけ邦題もちょっと違う。
出来過ぎた設定や展開が評価の分かれ目
娘の死で生きる気力を失った主人公を見かねた友人らが、彼を救うためにある突飛な秘策を実行する。あのクリスマス映画の定番とソックリな邦題が紛らわしいものの、まあ、一人の男が絶望の淵から救われる奇跡のようなお話という点では似ているとも言えよう。
とはいえ、その秘策ってのがちょっと問題。手が込み過ぎているというか、都合が良過ぎるというか。これを素直に受け入れられるか否かで、本作の評価も大きく変わるはずだ。
全体的に、まずテーマありきで物語が構成されたような印象が強く、作為的なあざとさが目立つことは否めない。贅沢なキャスト陣の顔ぶれや真冬のN.Y.のオシャレな雰囲気を楽しむ分にはいいのだけれど。