ナミヤ雑貨店の奇蹟 (2017):映画短評
ナミヤ雑貨店の奇蹟 (2017)ライター2人の平均評価: 3
門脇麦の歌声が文句なしに素晴らしい
ある特定の場所が時空の境目になるという設定は決して目新しくないし、時を超えた手紙のやり取りってのも韓国映画『イルマーレ』などを彷彿とさせるが、本作の場合は様々な人生が交錯する群像劇としてファンタジー的な仕掛けが上手く生かされている。
筆者の個人的な趣味から言えばベタで甘すぎるお話だし、キャスティングも一部難ありだとは思うが、人物関係や時間軸が複雑に入り組んだストーリーを破綻することなくまとめた脚本の出来は秀逸だ。また、少なからず驚かされたのは、シンガーソングライター役を演じる門脇麦のパフォーマンス。女優ならではの豊かな表現力と伸びやかな歌唱力は文句なしに素晴らしい。
西田店主があなたのお悩み解決!
『イルマーレ』の発展形といえる設定だが、『余命1ヶ月の花嫁』の監督・脚本家コンビだけに、ある程度の出来は予想が付くだろう。西田局長…いや店主のお悩み相談を軸に、5つのエピソードが入り組んだ東野圭吾の原作をまとめた斉藤ひろしの脚本は、人情ドラマとしてクリアしているし、廣木隆一監督だけにベタな演出では観客に涙を強制しない。そして、物語のカギとなる劇中歌が、山下達郎が歌う主題歌にバトンタッチされる演出もなかなかだ。ただ、個人差はあるが、どこかバタ臭い部分はあり、好演している山田涼介のメイクや林遣都の歌、手塚とおるの表情など、やりすぎ感もある。というわけで、そういうツッコミをしない人向けといえる。