カフェ・ソサエティ (2016):映画短評
カフェ・ソサエティ (2016)ライター2人の平均評価: 3
ウディ・アレンが語る“ふたりのベロニカ”
『ラジオ・デイズ』の主人公がそのまま成長したようなジェシー・アイゼンバーグに、ブルース・ウィリスから引き継いだイヤミな業界人を演じるスティーブ・カレル。そんな2人に挟まれ、クリステン・スチュワートは自身の不倫・三角関係騒動のセルフパロディをやってのける。御年80歳超の爺さんだから語れる人生観がにじみ出ているが、これだけのドラマをサラリ96分で描けるのもウディ・アレンならでは。しかも、映像の魔術師ヴィットリオ・ストラーロと初タッグを組み、初めてのデジタル撮影に挑んだチャレンジ精神にも拍手。オチも含め、もうひとつの『ラ・ラ・ランド』として観るのも一興だが、ゴージャス&エレガントさはこちらの方が上。
彼が嫌うL.A.が舞台で驚いたら、落とし込みに納得
81歳という年齢にも関わらず、ウディ・アレンは、年1本のペースで映画を作り続けている。アイデアは常に頭にあり、思いついたことを紙に書いては、時々それらを引っ張り出してきてストーリーを作るのだそうだ。「 良いアイデアを集めて良い映画になることもあるし、ひどいアイデアを選んでひどい映画になることもある」と本人。今作は、ひどくはないが、作られなかったならそれでもよかった範囲に入るものだろう。いつものように今作もビッグスターだらけだが、ブレイク・ライヴリーを筆頭に、活かしきれていないケースが多い。珍しくL.A.が舞台で驚いたが、ニューヨークのほうが魅力的と落とし込むところが、さすがアレンである。