ジョン・ウィック:チャプター2 (2017):映画短評
ジョン・ウィック:チャプター2 (2017)ライター5人の平均評価: 3.6
お洒落なスタイリッシュ感も増した荒唐無稽アクション第2弾
前作の宿敵だったロシアンマフィアの残党を一掃するとこから始まるシリーズ第2弾。監督以下主要スタッフは概ね続投ゆえ、基本的な世界観は前作とほぼ統一されているが、今回はさらに手強いイタリアン・マフィアの巨大組織が相手。舞台もローマに移ったことで、より一層のことお洒落なスタイリッシュ感が増している。
いやあね、荒唐無稽もここまで極めてくれると立派。裏社会のグローバルな情報システムとか、そこら中に張り巡らされた隠れ蓑ビジネスとか、んなことあるかい!なんて突っ込むのも野暮に思えるくらい、徹底的にイカしてるんですわ。『燃えよドラゴン』&『上海から来た女』リスペクトな鏡の部屋の銃撃戦もあざといけど好き。
まるで変わらないのがジョン・ウィックの魅力
前作に比べていろんなものがスケール・アップ。今度の敵はイタリアン・マフィアで、ローマでのロケも敢行。ジョン・ウィックはスーツも特注、銃もナイフも極上のものを手に入れる。賞金の額もアップ、敵の数も増え、組織に所属する殺し屋全員の標的になったりもする。そうしたスケールアップぶりは本作の見どころなのに違いない。が実は、そんなふうに周囲が派手になるのに、ジョン・ウィックがまったく変わらない、というところが本当の見どころなのではないか。スーツは上等になっているのに、オシャレになった感じがしない。そんなジョンのキャラクターには、キアヌ・リーヴス本人の資質が反映されているような気がしてしまう。
キアヌの流れるようなガンフーに目が釘付け
抜群の腕を誇る、裏社会の007的な殺し屋ジョンがまたまた「降りかかった火の粉は払わねば」という状況に追い詰められ、前作の興奮再び! 役者陣もバイレンス具合も殺害される人数も飛び交う銃弾もロケ地も前作よりもパワーアップ。ヒットしたので予算も倍増? 劇画的といってもいい単純な物語だし、エンディングまで想像通りなのに見る側を魅了するのは監督独特のスタイルや美学があるからだろう。しかも監督の期待に応えたキアヌは流れるようなガンフーに磨きをかけ、ボロボロになりながらも戦い続けるジョンを熱演。殺し屋サポート機関コンチネンタルが五大陸にあるということも明らかになったので、さらに3本作って欲しいもの。
わんちゃん預けて、ローマで休日
前作から5日後の設定ながら、キアヌ・リーヴスが重い身体にムチ打ちながら魅せるガン・フーのスキルは増幅! 武器もアサルトライフルのような長物から鉛筆まで、なんでもござれ状態だ。監督も脚本家も続投だけに、前作の世界観はそのまま、『燃えよドラゴン』の鏡の間をガン・アクションで再現する無謀すぎるシークエンスまで、ひたすら突き進む“ローマ激闘編”。ダリオ・アルジェント愛も感じさせるなか、フランコ・ネロの登場も『ジャンゴ 繋がれざる者』よりリスペクトを感じる。ローレンス・フィッシュバーンは話題作りの域を出てないが、女殺手ルビー・ローズなど、さらにスケールアップしてくれるであろう3作目に期待を込めて!
劇画アクションの発展系、ここに極まる!
現実味を追求すると“つまらない”、劇画に徹すると“ウソくさい”と簡単に一刀両断される昨今、ここまで後者に潔く徹すると、見ていてとっても嬉しくなる。
『リベリオン 叛逆者』の“ガン=カタ”よりも現実的に銃撃とカンフーを融合させた“ガン・フー”。今回は、その発展型をみることができる。とりわけ、“カー・フー”は文字通りの車同士の格闘で、『新仁義なき戦い・組長最後の日』で深作欣二がやってのけた“車同士の殴り合い”の進化を見ようで感慨深いものがあった。
前作のファンには、世界的な暗殺組織のからくりを覗けるサービス付き。キアヌがノリノリで劇画演技に徹しているのも嬉しい。