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ひいくんのあるく町 (2017):映画短評

ひいくんのあるく町 (2017)

2017年9月2日公開 47分

ひいくんのあるく町
(C) 水口屋フィルム
森 直人

この監督は町の中に残り続けるイノセンス=希望を追いかけていく

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

町はずれのホームセンターにいる「ひいくん」にカメラがついていくところから、次第にひとつの共同体の歴史と現在、不思議な有機性が見えてくる。場所は山梨・市川大門。甲府のシャッター街を映し出した大作としては空族の『サウダーヂ』があるが、こちらはわずか47分で、日本社会のある断面のずいぶん奥深くまで案内してくれる。

これを日本映画大学の卒業制作として撮った監督・青柳拓は、自らが直面した問題に素直に反応し、そこから生じた疑問に向け、ぴったり等身大のサイズで次の思考と行動につなげていく。戦略や野心どころか、余計な自意識すら絡むことがない。目の前の物事を身の丈でまっすぐ見つめるニュートラルな知性は宝だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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