ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で (2016):映画短評
ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で (2016)現実と虚構の狭間に埋もれた作家の選択が痛々しい
恥ずかしながら作家ネリー・アルカンを知らなかったので、見始めたときは芸能界入りが叶わずに娼婦になった多重人格女性の物語と勘違い。すぐに自伝的小説で華々しい成功を収めた美人作家の人生と彼女の著作をオーバーラップさせていることに気づくが、ネリーが現実と虚構の狭間で焦燥感や不安を感じ続けた背景がやや不鮮明。セレブ文化の悪影響なのか、名声に溺れてしまったのか? 実話ベースの作品なので妙な憶測を避けたのだろうが、アンヌ・エモン監督なりの推論を描いても良かった気はする。一人で4タイプのキャラクターを演じたミレーヌ・マッケイは頑張っているけれど、作家本人に比べると華がないのが残念。
この短評にはネタバレを含んでいます