セントラル・インテリジェンス (2016):映画短評
セントラル・インテリジェンス (2016)ライター2人の平均評価: 3.5
コメディとシリアスのバランスも絶妙なスパイ・アクション
高校時代はデブのいじめられっ子だった筋肉ムキムキの凄腕CIAエージェントと、その元同級生で学園ナンバーワンのスターだった平凡な中年のオッサン。そんな2人が世界の安全を脅かす巨大な陰謀に立ち向かう。
基本的には荒唐無稽なスパイ・アクション。そこにいじめ問題を絡めているところが新鮮だ。学生時代のヒエラルキーが社会へ出ると逆転してしまうのはよくある話だが、いじめの記憶がいまだ深いトラウマとして暗い影を落とすボブ、逆に高校時代の輝かしい栄光が重荷となっているカルヴィン、それぞれの複雑な心情をきっちりとストーリーに織り込んでいるところもいい。コミカルなノリの良さとシリアスなテーマのバランスは絶妙だ。
ロック様が“人間はそう簡単に変われない”ことを実証!
「高校時代のイジメられっコが、CIAエージェントに!」の設定に目新しさはないが、本作の面白さは「とはいえ、ファッションセンスも豆腐メンタルも変わってねぇ!」ところ。アン・ヴォーグの「マイ・ラヴィン」が好きだわ、ポシェットを腰に巻くわ、20年経ってもイジメっコには頭が上がらないわと、悲しい性を背負い、Tシャツ柄同様、パブリック・エナミーに仕立てられるダメ男を『ペット』の毒舌ウサギのイメージも強いケヴィン・ハート相手に、ロック様が演じる可笑しさだ。カメオもアリな“野郎版『ロミーとミッシェルの場合』”な同窓会映画としても、『なんちゃって家族』の監督らしいユルいサスペンスも楽しめること請け合い。