スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (2019):映画短評
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (2019)ライター5人の平均評価: 4
これはこれで、美しいフィナーレ
レイとカイロ・レンの宿命を結び付けるという点において、本作は新三部作の美しい終幕となった。
冒頭のテロップで、いきなり旧作のヴィランが生き返っていることが説明されるのは唐突でズッコケた。が、サーガのテーマでもある“フォースにバランスをもたらす者”を、より大きなスケールで登場させたことの意味を考えれば結果オーライ。
ポーやフィンら新シリーズからのキャラが戦闘の駒以上の役割を果たしていなのは勿体ないが、欲を言えばキリがない。X-ウィングの浮上や原点に立ち返るラストなどのグッとくる場面とともに、フォースの使い手ふたりの“バランス”を胸に刻んで自分の中のSWを終わらせようと思う。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも通じる達成&打ち上げ感!
さすが、J・J・エイブラムス監督というべきか、なんとかまとめてくれました! 冒頭から「最後だし、お菓子みたいに142分に詰め込んでしまえ」感全開! 別れや再会というドラマを展開させながら、観客に余韻を持たせないまま、とにかく畳みかける。そして、困ったときのランド・カルリジアンの高笑いを始めとする『ジェダイの帰還』オマージュ。結局、“あの一言”など、『最後のジェダイ』とは何だったんだ?と疑問を抱きながら、『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも通じる達成&打ち上げ感に感涙。とはいえ、“レジスタンス界の天童よしみ”ローズに続き、“ファースト・オーダー出身の大坂なおみ”ジャナ登場は意味不明だ。
力業の完結編にして、原点回帰のフィナーレ
ベイダー誕生という絶対的な結末のあったプリクエルに対して、無限の可能性が得られた新三部作。実は非常に難物だったのかもしれないと感じたグランドフィナーレ。そのシリーズを動かしたJJエイブラムスが帰還して、“スターウォーズという映画とは?”という根源的な部分を改めて描きなおすという。スター・ウォーズを創るにあたって至極まっとうな部分に立ち返り、責任を全力で果たした結果の作品と言えるでしょう。
強引さ、後出し感もありましたが、アダム・ドライバーが出ると全部引っ込むくらいの存在感。MVPはアダム・ドライバーとJJですね。
ファンサービスたっぷりのグランドフィナーレ
全9作の完結編ということを、意識しすぎるくらい意識している。あの人もこの人も出てくるし、ファンサービスはたっぷりで、つい歓声をあげてしまうこともたびたび。無難といえばそうかもしれないが、ファンの目線で作られているのもたしか。大傑作とは言えなくても、正しいグランドフィナーレになっているのではないか。せっかくアダム・ドライバーをキャストしておきながら、これまでは彼が演技力を発揮できる場面があまりなかったが、今回は彼の感情的なシーンがもう少しあるのも嬉しい。タイトルに「The Rise of Skywalker」が選ばれた理由も、映画を見れば、納得する。
シリーズの原点もフラッシュバックする、美しきひとつの結末
SWマニアではないが、全作リアルタイムで観てきた者としては、EP1以降で今回が最もEP4〜6の「感覚」「ムード」が蘇る瞬間が多かった。「フォースの覚醒」以上にJ.J.は原点への回帰を肝に命じたのではないか。
アクションの演出は、背景の絶妙なチョイスとともにケレン味たっぷりで、見やすさとダイナミズムにソツがないのもJ.J.らしい。自己犠牲や絆、多様性への訴求も含め、全体のまとめ方も美しく、強烈なサプライズはないもののシリーズファンには満足の行く展開だと強く感じた。
個人的にはEP7から妙に気になってたキャラの、一瞬のトンデモ活躍に爆笑! こういう予定調和を外す楽しさがもっと欲しかった気も。