西遊記 ヒーロー・イズ・バック (2015):映画短評
西遊記 ヒーロー・イズ・バック (2015)ライター2人の平均評価: 4
中国アニメの傑作は『KUBO』ファンにもおススメ!
お釈迦様によって力を封印された伝説の英雄・孫悟空が、幼い少年を邪悪な妖怪軍団から守るうち、自惚れた暴れん坊から真のヒーローへと成長していく。「西遊記」の物語を換骨奪胎し、新たなキャラクターや設定を盛り込んだ中国アニメなのだが、これがなかなかの傑作だった。
確かにCGの技術はまだ発展途上という印象が拭えないものの、キャラクターの造形も動きも生き生きとしているし、中国の伝統文化を感じさせる作画デザインも美しいし、なによりも脚本が良く出来ている。ハリウッドや日本のアニメから貪欲に吸収しつつ、しっかりと独自の世界観を構築しているのだ。恐るべし中国アニメ。『KUBO』ファンにも是非おススメしたい。
"東洋ならではの動き"が画面全体に躍動する
アニメーションの真髄は"動き"にあり。本作はそれをさらに深めて、ハリウッド製アニメとは異なる、"東洋ならではの動き"を追求する。監督は中国出身のティエン・シャオポン。映像は、カンフー映画やツイ・ハーク、ジョン・ウーらのアジア監督が培ってきた"東洋ならでのアクション演出"をアニメに投入することを意識。アニメーション特有の誇張表現も、"東洋ならでは"を感じさせる曲線と強弱、スピードの抑揚によって描かれる。その動きが、原点は京劇や中国武道の動きにあるのではないかと感じさせるのだ。「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」とデザイン面の共通点はあるが、また別の角度から東洋ならではの美学が追求されている。