ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 (2018):映画短評
ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 (2018)ライター5人の平均評価: 3.6
深まるラブストーリーがチャーミングでユーモラス
新キャラクターが複数登場し、それぞれに物語が。ニュートの過去のストーリーもあり、副題の「The Crimes of Grindelwald(グリンデルバルドの犯罪)」以外のことに時間が費やされる。そのため中心となるストーリーがあまり先に進まない感じがしてしまうが、これは5本作られるシリーズの2作目。ここで蒔かれた種が、後に大きく実ることに期待。そんな中でも魅力なのは、ラブストーリーの部分。恋する男たちジェイコブとニュートの会話は、とりわけユーモラスでかわいい。上記の理由でジョニー・デップとジュード・ロウの出演時間も思ったより短いのだが、とくにロウのダンブルドアは、次回もっと見たいと思う。
今回はついにジョニデが活躍しますよ
技術の進歩によりJ・K・ローリングが創造した魔法世界の造形はさらにファンタスティックに! 中国の獅子や日本の河童をイメージしたクリーチャーも登場し、映像美は華々しく賑やか。目がチカチカし、その夜は眼精疲労を実感したほど。ジョニデ演じるグリンデルバルトが復権して野望が明らかになるが、クリーデンスがどう絡むのかはまだ明かされず。素敵なクリフハンガーになっているのは、さすがはJ・K・ローリング。脚本家としても秀逸だ。ティナとニュートの関係は今後進展するのか? J・ロウがセクシーさ全開なせいで“ダンブルダディ”と一部で呼ばれるダンブルドア先生の今後の方針など次作が待ち遠しく、もどかしいわ。
知ってるはずの世界なのに、驚きを与えてくれる
サプライズを与えてくれる。この驚きは、シリーズの原案&脚本を担当したJ・K・ローリングの大胆さゆえだろう。舞台は、時代こそ違うものの「ハリー・ポッター」と同じ世界。監督も脚本家も前作と同じ。なのに、前作とはかなり雰囲気が違う。謎解きも「ハリポタ」では1作に1つだったが、複数の謎が同時進行。そして気づけば、後にこの世界の伝説となる出来事の"発端"を、目の当たりにしてしまっているのだ。
思い起こせば、ローリングは最初から全5部作になると宣言していた。それだけの長さを必要とする壮大な物語が、今回、大きく動きだす。今後も予想外の展開をするのではないか、そんな期待を抱かせてくれる。
『ハリポタ』ファンの心理をくすぐる要素が満載!
『ファンタスティック・ビースト』シリーズ待望の第2弾。若き日のホグワーツ校長ダンブルドア先生が登場し、『ハリー・ポッター』原作シリーズでほのめかされていた、闇の魔法使いグリンデルバルドとの因縁の過去が少しずつ明らかにされる。ダンブルドア先生役にジュード・ロウってイケメン過ぎやしない?と思ったが、年齢的にも枯れ具合的にもちょうどいい按配。エディ・レッドメインとの良き師弟関係も微笑ましい。錬金術師ニコラス・フラメルの登場も『ハリポタ』ファンならニヤリ。今回はホグワーツも舞台になるしね。ただ、テンポ良く賑やかな割に、終わってみれば意外と話が先に進んでいない。とりあえず、早く次回作を頼んます(笑)!
人間ドラマに想像力もふくらむ、前作以上の濃密度
日本のカッパや、懐かしのホグワーツなど、心ときめく見どころを的確に配し、一瞬たりとも飽きさせない構成は、さすがの一言。タイトルからしてグリンデンバルドの邪心が物語をかき回すのは予想範囲内として、人々の思惑を左右するキーパーソンは別の人物だったりと、複層的なドラマとして、そして今後のシリーズの展望も含めて見ごたえ万全だ。
ダンブルドア&グリンデンバルドを筆頭に、あれこれ想像力を刺激する人間関係の描き方も、90年前が舞台なのに、じつに2018年の映画らしい。人々が扇動される危険というテーマも現代的。そして「ハリー・ポッター」の熱いファンに向けたネタも…と、多方面へのサービス精神が感じられる。