ウイスキーと2人の花嫁 (2016):映画短評
ウイスキーと2人の花嫁 (2016)ライター2人の平均評価: 3.5
映画館に行く時はヒップフラスクをお忘れなく!
戦争でウイスキー不足に陥った村の老人が最後の一杯を飲んだ帰り道で絶命する冒頭でウイスキーが《命の水》と証明する小技にニヤリ。村全体が消沈するなか、大量の《命の水》を乗せた船が座礁したことで生まれる村人たちのさまざまな思いが物語を牽引する。愛する娘たちを嫁に出すやもめ父の複雑な心模様や娘たちの婚約者の事情、民兵となった中年男の妙な挫折感など主要キャラクラーの人物造形にも膝を打つ。コンゲームの側面もあるが、騙し合い自体は非常にのどか。村を包む温かな空気感で心の奥がほっこりする。余談だが、村人が実にうまそうにウイスキーを飲むので、映画を見ながらのどが渇くことしきり。
スコットランド気質が楽しいスコットランド万歳映画
「キングスマン:ゴールデン・サークル」でも、マーリンが出身地スコットランド産のウィスキーへの誇りを発揮する場面があったが、本作はそんなスコットランド人のスコッチ礼賛かつスコットランド万歳映画。49年の同名原題映画のリメイクで、村中の人々が、当局の目を盗んで沈没船からウィスキーを手に入れるために一致団結するという、ホラ話のようなストーリーだが、それが実話なところも、さすがスコットランド。監督も脚本家も主要出演者もスコットランド出身で、ロケ地もスコットランド。ひねったジョークも、官憲には素直に従わない気質もスコットランド流。若者たちよりも、偏屈な老オヤジたちがイイ味で魅力的なのもこの話に似合う。