グッバイ・シングル (2016):映画短評
グッバイ・シングル (2016)ライター2人の平均評価: 4
落ちめ女優の偽装妊娠騒動が映し出す格差社会と拝金主義の悲哀
落ち目になった往年の韓流スター女優が突然の妊娠発表。未婚での妊娠告白は勇気ある行動!と世間から賞賛され、再びトップの地位へ返り咲くのだが、実はこれが全くの嘘。望まぬ妊娠に困った貧しい女子中学生の子供を、金にものを言わせて買い取るための偽装工作だった。その思わぬ人生逆転効果で図に乗ったヒロインが、手痛いしっぺ返しを受けることで大切な教訓を学ぶ。
40代で化石扱いってのもどうよ…と思いつつ、そんな外見の美と若ささばかり重視される芸能界はもとより、格差社会の偽善や拝金主義の醜悪さなどを痛烈に風刺しつつ、涙あり笑いありのブラック・コメディに仕上げた演出の手腕は見事。文句なしに面白い。
ドンソク兄貴がNY帰りのスタイリストって!?
年下のイケメン恋人に弄ばれたため「絶対に裏切らない人=我が子」を手に入れようと妊活する落ち目のセクシー女優ジュヨンはある意味、短絡思考のバカ。思ったことをすぐに口に出す彼女が周囲を振り回すコメディだが、根底にあるのは「家族の大切さ」。笑って、ホロリとさせる韓流らしい秀作だ。タフガイ役が多いマ・ドンソクがヒロインを見守るスタイリスト役で脇をピシッと締めているが、NY帰りでそのセンスはいかがなものかと突っ込む人は多いかも。39歳という設定のジュヨンを演じるキム・ヘスは、47歳とは思えない抜群のスタイルとくるくる変わる表情が実にチャーミング。ずっと第一線で活躍する女優の貫禄にひれ伏してしまった。