ホース・ソルジャー (2018):映画短評
ホース・ソルジャー (2018)ライター2人の平均評価: 3.5
英雄たちの背後にもうひとつのストーリーがある
実話を元に、アフガニスタンの戦場で英雄的な行動をする男たちを描いているのはその通りなのだが、それでいて、ただの戦争ヒーロー映画にはなっていない。スクリーンの上に出現するのは、男たちの熱意や行動だけではなく、それと同時に、米軍の圧倒的な軍事力、遥か上空から他国の大地に投下する爆弾の大量さと破壊力の甚大さがリアルな映像で描かれていく。その破壊力の大きさの中で、人間ひとりひとりのサイズは小さい。そういう光景が何度もスクリーンに現れるのだ。それを描いたのは、監督がデンマーク出身、報道カメラマン出身だからだろう。登場人物の台詞で語られるストーリーとは別に、目が見て受け取るストーリーがある。
実話と虚構、ドラマとアクションの均整がとれた快作
実在の人物へのリスペクトと娯楽性、ドラマとアクションのバランスが取れているという点で、よくできた戦争映画。
うまいと思わせるのは、ヘムズワースふんする主人公の“実戦経験がない”という事実を打ち出したこと。いざ戦場に放り出されたら不測の事態が待つうえに、敵を殺すという重い現実がのしかかる。味方のイスラム兵と交流を重ねつつ、それを乗り越える彼の成長に、ドラマの主軸を置いている点がいい。
アクションも緊迫感にあふれており、作戦の遂行場面はいちいちドキドキさせるが、圧巻はやはりクライマックスの騎馬戦。“敵の弾がなぜ当たらない!?”なんて無粋なツッコミは置いといて、絵的な興奮を楽しみたい。