蜘蛛の巣を払う女 (2018):映画短評
蜘蛛の巣を払う女 (2018)ライター3人の平均評価: 3
『ミレニアム』シリーズというよりは女性版『007』
7年を経てようやくお目見えしたハリウッド版『ミレニアム』シリーズ第2弾だが、しかし印象としては、モーリス・ビンダー風のタイトル・シーケンスを含め、さながら『007』シリーズのような趣だ。身体能力抜群のスーパーヒロインへと変貌した天才ハッカー、リスベットも女性版ジェームズ・ボンドといったところ。それはそれで必ずしも悪くはないのだが、スタイリッシュな演出にはこれといった個性もなく、フェミニズム的なアンダートーンも未消化に感じられる。ごくごく平均的な娯楽アクション。『悪魔のはらわた』や『ドント・ブリーズ』で見せたフェデ・アルバレス監督の鬼才ぶりを期待しただけに、少々肩透かしであったことは否めない。
クレア・フォイ演じる新たなリスベットに注目
シリーズのヒロインである凄腕ハッカー、リスベットを演じるのは、TV「ザ・クラウン」のクレア・フォイ。彼女が描くリスベットは、北欧版のノオミ・ラパスとも、デヴィッド・フィンチャー監督版のルーニー・マーラとも違う、新たな人物。どのリスベットが自分の好みか比べてみるのも一興。今回はリスベットの幼少期も登場し、双生児の姉妹との物語も浮かび上がってくる。
映画のタイプも新趣向。監督が「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスなのでサスペンス色が強まるのかと思ったら、アクション度がアップして、ヒロインの身体を使った激しい肉弾戦が続々。北欧の雪山の巨大空間を使った大規模アクションも見もの。
今度のリスベットはアクション・ヒロイン!
『ミレニアム』シリーズのヒロイン、リスベットはパンキッシュな個性が際立ち、映像化ではキャラが独り歩きした感があるが、本作ではさらに歩を進める。
オリジナル『ミレニアム』三部作の原作者S・ラーソン亡きあと別の作家がシリーズを引きついだことで、小説版のテイストが少々変化。それを受けての映画化ゆえか。本作のリスベットには命がけのアクションがこれまで以上に用意されており、ミステリーよりヒロイン活劇に近い。
そのため『ドラゴン・タトゥーの女』に比べるとリアリティが薄れた気もするが、リスベットの無敵っぷりを楽しむ分には気にならないだろう。注目作『ファースト・マン』のC・フォイの熱演が光る。